FEATURES 2026.06.01 Why the Seattle Seahawks Believe in Japan なぜシアトル・シーホークスは日本に注目するのかシアトル・シーホークス国際部門統括長 イザベル・ヴァン・クーフォルデン氏が語る、日本フットボール市場への期待 NFLは今、かつてないスピードでグローバル化を進めている。 その最前線に立つ組織の一つが、NFLの名門シアトル・シーホークスだ。今回、ワシントン州視察団の一員として来日したシアトル・シーホークス国際部門統括長のイザベル・ヴァン・クーフォルデン氏に、日本市場への期待や今後の展望について話を聞く機会を得た。 NFLの成長を支える「世界のファン」 日本におけるアメリカンフットボールの将来性について尋ねると、ヴァン・クーフォルデン氏はまずNFLの変化について語った。 「フットボールは今、確実にグローバル化しています。スーパーボウルだけでなく、レギュラーシーズンの視聴者数も世界中で増加し続けています。SNSのフォロワー数を見ても、アメリカ国外のファンの割合は非常に大きくなっています。」 さらに現在NFLには120人を超える海外出身選手が所属しており、リーグの国際化は数字の上でも明確に表れているという。 その上で彼女は、日本をNFLおよびシーホークスにとって重要な市場の一つと位置付けていると語った。 ワシントン州と日本の特別な関係 シーホークスにとって日本はどのような存在なのか。 「ワシントン州と日本には長い歴史の中で築かれてきた特別なつながりがあります。そして私たちは、日本のファンとシーホークスの間にも非常に強い結びつきがあると感じています。」 シーホークスのファンは「12(The 12s)」として知られている。 フィールド上の11人に対し、ファンが“12人目の選手”としてチームを支えるという考え方だ。 「シーホークスのファンは非常に忠誠心が強く、チームとの結びつきも特別です。その価値観は日本のファンにも共感してもらえると思っています。」 日本でファン層拡大とパートナーシップ構築を目指す 今後の日本・アジア戦略についても聞いた。 「日本は地理的にもシアトルに近く、文化的にもビジネス的にも強いつながりがあります。長期的にはさらにファン層を拡大し、才能ある人材の育成や交流にも取り組んでいきたいと考えています。」 さらにシーホークスは競技普及だけでなく、スポーツパートナーシップの構築にも力を入れているという。 「私たちはXリーグをはじめ、日本のフットボールコミュニティとの関係を深めていきたいと考えています。」 シーホークスは2024年、欧州リーグのチームとのパートナーシップを締結するなど、国際展開を積極的に進めている。日本との関係強化もその長期戦略の一環と言えるだろう。 日本で競技を広げるために必要なこと 一方で、日本では依然としてアメリカンフットボールはニッチスポーツの位置付けにある。 その課題について尋ねると、ヴァン・クーフォルデン氏は「アクセス」の重要性を挙げた。 「より多くの人がフットボールに触れられる環境が必要だと思います。試合観戦の機会や、チームや選手との交流機会が増えることも大切です。」 競技人口の拡大だけでなく、ファンとの接点を増やし、コミュニティを育てることが重要だという考えだ。 シアトルのゲームデーは“特別な体験” シーホークスの本拠地であるルーメン・フィールドについて話が及ぶと、その表情はさらに熱を帯びた。 「The 12sは本当に特別な存在です。」 シーホークスではファンを12番目の選手として位置付け、その存在を組織全体で大切にしている。 「試合の日には世界中からファンが集まり、スタジアム全体が特別なエネルギーに包まれます。」 ルーメン・フィールドはNFL屈指の大音量スタジアムとして知られ、対戦相手にとって最も厳しいアウェー環境の一つとも言われている。 「フィールドに立つと非常に感情的になります。シーホークスの試合は、単なるスポーツイベントではなく、コミュニティ全体で作り上げる体験なのです。」 日本の“12”へ 最後に、日本のファンへメッセージをお願いした。 「日本の12の皆さん、こんにちは。皆さんとつながることができて本当に嬉しく思っています。」 そしてこう続けた。 「ぜひシアトルにも来てください。私たちはこれからもチャンピオンシップを目指して戦い続けます。そのためには皆さんの応援が必要です。一緒に頑張りましょう。」 シーホークスが見据える未来は、単に海外でファンを増やすことではない。 フットボールを通じて人々がつながり、互いを理解し、共に成長していく文化を世界に広げることにある。 フットボールはフィールド上の勝敗だけでは語り尽くせない。 仲間のために自分を犠牲にする献身性、最後まで諦めない精神力、相手への敬意、そしてコミュニティへの帰属意識。 そうした価値観は日本のフットボール文化にも深く根付いている。 イザベル氏の言葉からは、競技人口や市場規模だけでは測れない「フットボールが人を育てる力」への強い信念が感じられた。 日本とシアトルの交流が深まることで、両国のフットボールコミュニティは競技面だけでなく、人間的な成長という面でも互いに学び合える存在になっていくだろう。 今回のインタビューからは、日本とシアトルのフットボール文化を結ぶ新たな可能性が感じられた。 Photo: Washington Office of the Secretary of State